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小泉 智; Monkenbusch, M.*; Richter, D.*; Schwahn, D.*; Farago, B.*
Journal of Chemical Physics, 121(24), p.12721 - 12731, 2004/12
被引用回数:56 パーセンタイル:85.93(Chemistry, Physical)膨潤した高分子ゲル(ポリイソプロピルアクリルアミドゲル)の内部のナノスケールの濃度揺らぎを中性子小角散乱,中性子スピンエコー法による実験結果に基づいて定量的に解析した。中性子スピンエコー法では濃度揺らぎの時間緩和を数百ナノ秒まで追跡することで、架橋によって凍結された濃度揺らぎ(静的不均一性)を決定することに成功した。またゲルを変形したとき中性子小角散乱では流動誘起相分離に特徴的なバタフライ状小角散乱を観察できた。これらの結果より変形に伴い静的不均一性が「応力と濃度揺らぎの動的カップリング」の機構に従って応答し、その結果流動誘起相分離(バタフライ状小角散乱)が出現したことを明らかにした。
中塩 信行; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
日本原子力学会和文論文誌, 3(3), p.279 - 287, 2004/09
高周波誘導加熱とプラズマ加熱を併用するハイブリッド加熱方式及び導電性るつぼを用いる高周波誘導加熱方式の2つの溶融方式によって50Lドラム缶スケールの溶融固化体を製作した。長期浸出試験前後の溶融固化体を解体し、固化体の固型化材(モルタル)充填状況,固化体性状の変化,固化体の化学組成及び放射性核種分布の均一性を調べるとともに、溶融固化体加熱方式の違いが放射性核種の金属層・スラグ層への分布に与える影響を調べた。いずれの溶融方式においても、均質で放射性核種が均一に分布した溶融固化体が製作できることを示すとともに、長期浸出試験後も固化体性状の劣化はなく健全な状態が保たれていることを明らかにした。
大島 武; Lee, K. K.; 小野田 忍*; 神谷 富裕; 及川 将一*; Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.201 - 205, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:33.69(Instruments & Instrumentation)過渡イオンビーム誘起電流(TIBIC)システムを用いて、SiC pnダイオードの電極の信頼性を評価した。SiCダイオードのpn接合は、n型エピタキシャル単結晶SiC上に800CでのAlイオン注入及びアルゴン中での1800C、1分間の熱処理により形成した。電極は、Al金属蒸着後にアルゴン中で850C、5分間熱処理または、電極熱処理後さらにAl金属蒸着した2種類を比較した。15MeV酸素イオンまたは12MeVニッケルイオンのマイクロビームを用いTIBIC測定を行った。その結果、熱処理後再度Al蒸着した試料は、得られる過渡電流量は電極面内で均一であったが、熱処理のみの試料ではムラが生ずることがわかった。一方、収集電荷量を解析したところ、得られる電荷量は電極形成条件によらず同量であり、pn接合は面内で均一であると判断できた。電流-電圧特性に関しては、いずれの試料も逆バイアス30Vでの洩れ電流はpAオーダーであり、順方向では2V程度のバイアス印加でターンオンする理想的なSiCダイオード特性を示した。以上より、TIBICを用いることで、通常の電流-電圧測定ではわからない電極の電気特性の面内均一性が評価できることが明らかになった。
中塩 信行; 中島 幹雄
デコミッショニング技報, (26), p.45 - 55, 2002/11
低レベル放射性廃棄物の溶融処理は、減容比が大きいこと,放射性核種の閉じ込め性能が高い固化体を製作できることなど、処分を考慮した均質で安定な廃棄体を製作するための有望な処理方法として注目されている。日本原子力研究所(原研)では低レベル放射性廃棄物を溶融処理により減容し、処分に向けて均一で安定な廃棄体を製作するために、1999年から高減容処理施設の建設整備を進めている。施設の供用開始に先立って、原研では処分に適した安定で放射能分布の均一な溶融固化体を製作するための溶融条件を把握することを目的に、プラズマ溶融処理によって製作した溶融固化体の性能評価試験を行ってきた。溶融試験では、非金属廃棄物を中心とした模擬雑固体廃棄物とRIトレーサーを非移行式プラズマトーチの加熱によって溶融し、溶融時における核種移行挙動及び溶融固化体の均一性,化学組成及び機械的強度等を調べたので、その一部を紹介する。
白川 敏彦*; 畑中 耕一郎
JNC TN8400 2001-027, 131 Pages, 2001/11
不均質多孔質岩盤中の水理/核種移行解析における入出力データ、実行手順を基本マニュアルとして取りまとめることを目的として、既存の不均質透水係数場作成コードの理論的背景と3次元水理解析コード、核種移行経路抽出コード、1次元核種移行計算コードからなる水理/核種移行解析プログラムの使用方法について調査した。本報告書では、調査結果に基づいて不均質透水係数場の作成に関する地質統計学的背景を説明した。さらに、不均質透水係数場作成プログラムおよび水理/核種移行解析プログラムのファイル構成、入出力データ、実行方法、実際の計算例を記載した。以上のように既存の不均質透水係数場作成コードおよび水理/核種移行解析プログラムの理論的背景と使用方法についてまとめることにより、上記の計算プログラムによる解析方法を手順化することができた。また、本報告書でまとめられた情報を活用することにより、自由に不均質多孔質岩盤をモデル化して水理/核種移行解析をすることが可能になった。
澤田 淳; 坂本 和彦*
JNC TN8400 2001-010, 25 Pages, 2001/03
第2次とりまとめにおける天然バリア中核種移行評価は、亀裂ネットワークモデルによる不均質な移行経路を考慮した核種移行解析評価に基づき実施している。亀裂ネットワークを用いた核種移行解析については、亀裂ネットワークモデルの計算容量の制限から亀裂の連結性を考慮したチャンネルネットワークモデルに変換して用いている。しかし、亀裂ネットワークモデルからチャンネルネットワークモデルへの変換には複数のオプションがあり、第2次とりまとめのため基本ケース解析ではそのうちの特定の設定を選択している。これらのオプションが解析結果に与える影響を検討した結果、いずれのオプションもチャンネルネットワークモデルのチャンネルの連結性やその透水特性に影響を与えるものの、核種移行解析結果に与える影響は小さいことがわかった。以上のことから、チャンネルネットワークモデルへの変換過程で複数のオプションから任意に設定した基本ケースの妥当性を示すことができた。
野邊 潤*; 松本 昌昭*; 長坂 和佳*; 丸山 健太郎*
JNC TJ8400 2000-006, 232 Pages, 2000/05
本研究では、昨年度までに構築した連続体モデルによるニアフィールド多孔質岩盤中の水理/核種移行評価手法を用いて、地下水流動を特徴付けるパラメータを変化させた場合の解析を行うと共に、手法の拡張性を考慮した信頼性評価を行った。具体的には下記の項目を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手法を用いて、第二次取りまとめに即したパラメータ設定による解析、および入力フラックスの変化に伴う影響評価を行った。・一次元核種移行解析コード「MATRICS」における、逆ラプラス変換手法の違いによる適用性把握を行った。・多要素版MATRICS(以下m-MATRICSとする)を用いて核種移行解析を行い、従来のMATRICSによる解析結果と比較し、不均質場における核種移行計算へのm-MATRICSの適用性の検討を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手順を統合化した環境の整備を行った。
八野 祐二*; 中司 龍明*
JNC TJ7440 2000-004, 52 Pages, 2000/03
本報告書は、月吉断層規模の地質構造について、通常の屈折法で用いられる萩原の方法で解析した場合と、インバージョン技術で解析した場合とで、解析精度の違いの有無を確認し、断層調査への適用性を把握するために、既存データによる再解析を実施したものである。屈折法弾性波探査の速度走時を、統計的および定量的に整理して、従来法での速度層区分の品質保証資料の作成を試み、合わせてインバージョン技術を応用した解析と品質面での比較を行った。また、月吉断層の物理的性質をパラメータとした感度解析結果から、断層の検出を目的とした場合の適切な調査計画について整理した。結果として、萩原の方法とインバージョン法とでは、観測走時と理論走時との全体的な誤差はそれほど変わらないが、インバージョン法は断層の幅や傾き等の詳細な地質構造を把握できる可能性があるという結果が得られた。最後に、インバージョン法の中で今回用いた手法では、その連続体を仮定した解析原理から、急激な速度境界面の解析には不向きで、物理探査における屈折法探査としては、萩原の方法と併用して行く必要があると考えられる。また、地質技術者が屈折法の解析断面図を地質構造解釈する場合に、今までの萩原の方法で34層程度に解釈された図に対しては慣れているが、今回のインバージョン法で得られる多層速度構造に対しては、地質パターンと速度構造とを対応付けるため、経験を積み重ねる必要があると考えられる。
鈴木 敬一*
JNC TJ7420 2000-007, 28 Pages, 2000/03
連続波レーダー実験機を用いて,反射係数を測定しインピーダンスを求める実験を実施した。測定対象は,空気,水,地面である。測定の結果,アンテナの接触する媒質により,インピーダンスの値が異なることがわかった。本実験結果で得られた知見を詳細に解析することにより,電磁ACROSS(Accurately Controlled Routine Operated Signal System)(またはACROSSレーダ)のハードウェアへの発展が期待される。
長崎 晋也*
JNC TJ8400 2000-004, 32 Pages, 2000/02
NpO2+のイライトへの吸着平衡ならびに吸着速度をpH=6において測定した。測定した吸着データはLangmuir型ではなく、Langmuir-Freundlich型の吸着等温線でフィッティングできることがわかった。フィッティングパラメータである不均質係数は0.89+-0.05であり、affinity spectraの半値幅(HWHM)はlog単位で0.19であった。このことは、本研究で使用したイライトの表面はNpO2+の吸着に対して比較的不均質性が弱いことを示している。またkinetic spectraから、NpO2+はイライトの外表面に吸着するが、層間には吸着しないことがわかった。kinetic spectraのHWHMは0.18logであった。HWHMがaffinity spectraと同程度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平均の吸着速度の温度依存性から、吸着の見かけのエンタルピーとエントロピーはそれぞれ、37+-3kj/molと-69+-7j/mol・Kと評価された。このエンタルピーの値は、吸着プロセスがイライト表面の境膜における拡散律速であることを示している。また、Na型モンモリロナイトへのNpO2+とNp(V)炭酸錯体(主にNpO2CO3-)の吸着平衡と吸着速度についても、同様にaffinity spectraとkinetic spectraを適用して評価を行った。
戸井田 克*; 塩釜 幸弘*; 渥美 博行; 升元 一彦*; 安井 信吾*; 阿部 泰典*; 古市 光昭*
JNC TJ7440 2000-006, 137 Pages, 2000/02
東濃地科学センターにおける地層科学研究では,地質環境の調査技術・調査手法を開発することを目的として,広域地下水流動研究,超深地層研究所計画を進めている。これらの計画では,主に地表から地下深部に至る花崗岩中の地下水の動きを対象にしており,そのための大きな課題は,できるだけ少ない調査量で高精度に地質環境を把握するための合理的手法を確立することである。統計解析手法は,地下に埋蔵する資源量の評価など他の分野において用いられてきた数学的な方法である。本業務ではこの手法を試錐データの解析に適用し,その有効性を確認した上で,この手法を取り入れた定量的地質環境モデルの構築を提示するものである。平成11年度には,以下の項目を実施した。1.限られた数量の実測データから得られた地質環境特性の空間的不均一性の情報に付随する不確実性を,定量的に評価する統計解析手法の明確化 2.東濃及び他地域の例における上記手法の試用及び適用性の調査 3.国内外の調査・検討事例の調査及びこれらとの比較による上記手法の合理性の確認 4.上記の統計解析手法を反映した定量的な地質環境モデル構築の要領案の作成
澤田 淳; 井尻 裕二; 坂本 和彦*; 亘 真吾
JNC TN8400 99-093, 58 Pages, 1999/11
本報告書は、地層処分研究開発の第2次とりまとめ(わが国における高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術的信頼性)の天然バリア中核種移行評価に資することを目的に、亀裂特性の不均質性を考慮した核種移行評価手法について検討した結果をとりまとめたものである。解析評価においては、100メートルスケールの亀裂性岩盤を対象に、3次元亀裂ネットワークモデルならびに1次元モデルの重ね合わせ手法を用いた。亀裂ネットワークモデルを用いた核種移行解析の結果、核種移行率はリアライゼーション毎に異なるものの、数10個のリアライゼーションを用いることでその統計的な傾向を捕らえることが可能で、かつその信頼区間を評価することができることがわかった。また、設定した基本ケースのデータ設定の範囲においては、亀裂構造に関わるパラメータ(亀裂密度、半径等)が100mスケールの核種移行遅延効果に与える影響は小さいことがわかった。核種移行遅延効果に対して影響が大きい透水量係数の不均質性に着目した1次元モデルの重ね合わせ手法を用いて解析した結果が亀裂ネットワークモデルを用いた解析結果にほぼ近似できることがわかった。ただし、本手法の適用においては、移行経路特性の核種移行遅延効果に対する影響を把握した上で適用することが肝要と考えられる。さらに、3次元亀裂ネットワークの結果が1次元モデルの重ね合わせにより近似できることから、亀裂ネットワーク構造内における処分坑道から下流側断層に至る大きな亀裂が核種移行評価上重要な役割を果たすことが示された。
神野 健二*; 中川 啓*; 細川 土佐男*; 畑中 耕一郎*; 井尻 裕二*; 吉田 隆史*; 亘 真吾
PNC TY1606 98-001, 54 Pages, 1998/03
核種移行パラメータの1つである分散係数は、数多くの原位置試験結果より地層の不均質性の影響を受けスケール依存性を示すことが知られており、評価スケールに応じた分散係数を設定することは地層処分システムの性能評価上重要な課題となっている。ところが、原位置での測定には限界があるために分散係数のスケール依存性に関しては未だ十分に解明されておらず、これまでに成層構造を持つ地層に対する理論的な研究があるだけである。そこで、動燃事業団では、不均質多孔質媒体トレーサ試験設備(略称MACRO)を用いて人工的に作成した不均質場においてトレーサ試験を実施し、不均質場が分散現象に及ぼす影響について研究を進めてきた。特に、昨年度の共同研究では動燃事業団と九州大学の保有するコードを用いてシミュレーション解析を実施し、解析結果の比較によりそれぞれのコードの適用性を明らかにしている。本年度は、新たに作成した不均質場において単孔式のトレーサ注水・揚水実験を実施し分散長を測定し、不均質特性が分散現象に及ぼす影響について検討を行った。一方、昨年度の研究において適用性を確認した計算コードを用いて数値シミュレーションにより不均質多孔質媒体中のトレーサ挙動を解析し、不均質特性とそれに起因する分散現象について検討を行った。トレーサ注水・揚水試験により測定した分散長を検討した結果、本試験が場の不均質性に起因する巨視的分散現象を検討する上で有効であることを確認した。また、数値シミュレーションにより不均質場におけるトレーサ移行挙動を検討した結果、不均質場の確率統計的特性を代表するパラメータとして用いた積分特性距離と巨視的分散係数の関係についての知見を得た。
小山田 潔*; 池田 孝夫*
PNC TJ1281 98-006, 63 Pages, 1998/02
探索型システム性能評価の雛型となる手法としては、環境シミュレーション法が挙げられる。この手法の重要な特徴の一つは、入力パラメータの値を統計的に変動させることにより、対象とするシステムの将来挙動の「あり得べき」姿を定量的かつ統計的に多数作り出すことが可能であるという点である。しかし、これまでの環境シミュレーション法では特定の数学モデルが用いられていたために、この方法で網羅できる挙動の範囲には自ずと限界があり、この点が大きな問題点として認識されている。そこで、探索型システム性能評価では、この問題点を克服するために、シャドウモデルという極めて汎用性及び柔軟性に富んだツールを用いることにより未だ専門家によって完全には否定されていない領域を含んだ全てのパラメータ/モデル空間を概括的に調べることとする。昨1996年度には、以上の思想に則り、人工バリア中核種移行シャドウモデルの開発を行った。このモデルの核種移行モデルとしての特徴は、種々の現象や特徴を表現することが可能な柔軟かつ汎用的な定式化にある。人工バリア中核種移行シャドウモデルを用いて多数の統計的な計算が行われ、この結果として人工バリアシステム中の幅広い核種移行挙動が具現化された。また、これらの結果に対する主成分分析と感度分析は、リファレンスケース近傍での感度構造についての既存の知識をより客観的かつ定量的な方法で再構築することに成功した。さらに、核種放出率の特に高い部分集合についての統計的な分析により、リファレンスケースよりも有意に高い核種放出率に至るようなクリティカルな核種挙動の組み合わせを同定することができた。この結果は、今後のシナリオ解析や評価ケースの設定に於いて、これらのクリティカルな核種挙動の組み合わせが具体的にどの様な現象群によって如何にして引き起こされ得るものであり、その生起はどの程度確からしいものであるのかを詳しく調べていくことの重要性を示唆するものである。また、この様な過程を経ることにより、探索型システム性能評価が、将来の地層処分システムの振る舞いに関する各専門家の理解を導きあるいは支援する、という意味に於いて従来の性能評価手法を補完するものとして有効であることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ、本年度の研究では以下の三つの課題に取り組むこととする。(1)人工バリア中核種移行シャドウモデル及びこれを用
小山田 潔*; 池田 孝夫*
PNC TJ1281 98-005, 400 Pages, 1998/02
探索型システム性能評価の雛型となる手法としては、環境シミュレーション法が挙げられる。この手法の重要な特徴の一つは、入力パラメータの値を統計的に変動させることにより、対象とするシステムの将来挙動の「あり得べき」姿を定量的かつ統計的に多数作り出すことが可能であるという点である。しかし、これまでの環境シミュレーション法では特定の数学モデルが用いられていたために、この方法で網羅できる挙動の範囲には自ずと限界があり、この点が大きな問題点として認識されている。そこで、探索型システム性能評価では、この問題点を克服するために、シャドウモデルという極めて汎用性及び柔軟性に富んだツールを用いることにより未だ専門家によって完全には否定されていない領域を含んだ全てのパラメータ/モデル空間を概括的に調べることとする。昨1996年度には、以上の思想に則り、人工バリア中核種移行シャドウモデルの開発を行った。このモデルの核種移行モデルとしての特徴は、種々の現象や特徴を表現することが可能な柔軟かつ汎用的な定式化にある。人工バリア中核種移行シャドウモデルを用いて多数の統計的な計算が行われ、この結果として人工バリアシステム中の幅広い核種移行挙動が具現化された。また、これらの結果に対する主成分分析と感度分析は、リファレンスケース近傍での感度構造についての既存の知識をより客観的かつ定量的な方法で再構築することに成功した。さらに、核種放出率の特に高い部分集合についての統計的な分析により、リファレンスケースよりも有意に高い核種放出率に至るようなクリティカルな核種挙動の組み合わせを同定することができた。この結果は、今後のシナリオ解析や評価ケースの設定に於いて、これらのクリティカルな核種挙動の組み合わせが具体的にどの様な現象群によって如何にして引き起こされ得るものであり、その生起はどの程度確からしいものであるのかを詳しく調べていくことの重要性を示唆するものである。また、この様な過程を経ることにより、探索型システム性能評価が、将来の地層処分システムの振る舞いに関する各専門家の理解を導きあるいは支援する、という意味に於いて従来の性能評価手法を補完するものとして有効であることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ、本年度の研究では以下の三つの課題に取り組むこととする。(1)人工バリア中核種移行シャドウモデル及びこれを用
長坂 和佳*; 篠崎 剛史*; 中嶋 研吾*; 野邉 潤*
PNC TJ1222 98-010, 15 Pages, 1998/02
本研究では、不均質多孔質媒体における信頼性の高いニアフィールドの水理/核種移行計算を行なうために、有限要素法による三次元飽和-不飽和浸透流解析プログラム「TAGSAC」、ランダムウォーク法による核種移行経路抽出プログラム「S-SURF3D/TR3D」、一次元核種移行解析プログラム「CRYSTAL」の一連の解析プログラムを用いた評価モデルについて、三次元水理物質移動モデルとの比較を実施することにより妥当性の検証を行い、また、この評価モデルにおいて三次元水理/核種移行パラメータを一次元パラメータに変換する手法の体系化を実施した。また有限要素法による三次元水理/核種移行解析プログラム「MIGR96」を対象として、解析結果の信頼性を示すため解析プログラムの内容の調査・確認、解析プログラムの性能解析を実施し、数値解上の問題点を検討し、効率的に高精度な解を得るための指針を示した。また、計算を効率的に実施するために解析プログラムの改良、およびデータ生成機能の整備を実施した。
神野 健二*; 中川 啓*; 細川 土佐男*; 畑中 耕一郎; 井尻 裕二*; 亘 真吾; Webb, E. K.*; 金澤 康夫*; 内田 雅大
PNC TY1606 97-001, 44 Pages, 1997/03
高レベル放射性廃棄物地層処分システムの核種移行評価上の重要パラメータとして分散係数がある。分散係数は平均的な流速からの変動成分により運ばれるフラックスが濃度勾配に比例すると仮定した場合の比例係数であるので、流速の関数として表される。また、媒体の幾何学的特徴に応じて、分散の効果が異なってくるので幾何学的特徴を代表とする特徴的な長さ(分散率)の関数でもある。分散率は地層の不均質な構造による影響を受けてスケール依存性を示す。したがって、分散係数が定義できる代表的な体積要素およびそのスケールに応じた適切な分散率を設定することは核種移行評価における重要な課題となっている。このため動燃では、多孔質媒体水理試験設備(MACRO)を製作し、試験を行い、不均質場での分散現象の解明に取り組んでいる。MACRO試験では、粒形の異なる数種類のガラスビーズを用いた不均質な透水係数場を人工的に作成し、通水試験とトレーサ試験を行うことができる。本研究では、MACRO試験で得られるデータを用いて、動燃保有の解析モデル/手法と九州大学保有のモデル/手法を相互比較することによってこれらのモデルの特性や適用性を検討した。動燃では、物質移動について粒子追跡法およびオイラリアンーラグランジアン法を用いた。九州大学では、特性曲線法を用いた。本共同研究により、動燃保有の粒子追跡法を適用した物質移動モデルはメッシュ分割、粒子数に解の精度が依存するため使用にあたっては注意が必要であることが分かった。特性曲線法を適用したモデルについては比較的精度良く物質移動現象を評価可能であることを確認した。また、不均質透水係数場において水理計算を行う場合、有限差分法と有限要素法では結果に差が生じる可能性があることが示された。
池田 孝夫*; 吉田 英爾*
PNC TJ1281 97-001, 98 Pages, 1997/03
本研究は、MACROII吸着試験として実施されたバッチおよびカラム試験について、その結果を評価する際の目的および定量的アプローチに関して検討を行ったものである。具体的には、まずバッチ及びカラム試験における吸着過程に対してある範囲の数学モデル候補を使用し、「フィッティング」実習によって最適モデルを選定する方法について検討を進めた。ここでの「フィッティング」とは、同じサンプルについて同じ条件のもとで実施された実験に対して実験結果を解析し、次第に複雑化する一連の試験において各候補モデルの相対的な正確さを評価することを意味する。具体的には、以下の手順により評価を行った。1.吸着平衡過程に対する時間スケールを決定するためのバッチ試験結果の範囲解析2.モデル平衡等温線及びバッチ試験等温線の比較3.吸着速度論を決定するための、モデル濃度・時間曲線のバッチ試験で測定された濃度・時間データへの「フィッティング」4.長さスケールの影響を決定するためのカラム試験結果の範囲解析5.吸着と他の移行過程との相互作用を決定するための、モデル破過曲線のカラム試験破過曲線への「フィッティング」本研究においては、上記の手順に基づき試計算を実施している。具体的には、各モデルに基づき濃度の経時変化あるいは破過曲線を自動的に生成するソフトウエアと、この生成されたデータをバッチ試験及びカラム試験から得られたデータにより非線形フィッティングするソフトウエアとによりステップ3及びステップ5のフィッティングを実施した。実際にはこの2つのソフトウエアは、ひとつのソフトウエアにパッケージ化されておりフィッティングは自動的に行われた。またこの試計算からは、測定誤差に関する情報が利用可能な場合には、さらに様々な情報を得ることが可能であることが確認された。したがって、将来的により多くの実験データが利用可能となった場合には、本研究の成果はより広範囲に利用可能となるものと考えられる。また本研究では、MACRO-II試験装置における吸着試験について、2次元のシミュレーションを実施し、その有用性について検討を行った。
大久保 博生*
PNC TJ1222 95-001, 48 Pages, 1995/02
本年度は、まず、前年度に一例として作成した火成活動に関するインフルエンス・ダイヤグラムに関するパラメータ、方程式、計算モデルなどのリスト・アップ・検討を行った。次に、複数のFEPからシナリオを自動的に生成するためのシナリオ作成支援システムの試作を行い、パラメータ連鎖を作成するためのシステム概念に関する検討を行った。最後に、各FEPの基本モデル解析フレームでの取り扱い方法の検討を行った。